ChatGPTのロック付きチャットは何を隠す?画面共有前の確認手順

  • 投稿日:
  • 4分 で読める
会話を守るロックボックスを描いたイラスト

ChatGPTに仕事の相談や個人的なメモを残していると、「履歴には残したい。でも画面共有中にタイトルが見えるのは困る」と感じることがある。OpenAIは10月20日、会話を通常の履歴や検索から隠し、PINで開くロック付きチャットを発表した。消すほどではない会話を、普段の一覧から分けて置ける機能だ。

ただし、ロックを「機密情報を何でも入れてよい金庫」と考えると危ない。何が隠れ、何が残るかを先に知っておくと使いやすい。以下では、画面共有前の整理を例に、使いどころと確認手順を考える。

何が変わったのか

OpenAIの公開情報によると、対象の会話をロックすると、通常のチャット履歴、固定したチャットの一覧、通常の会話検索から外れる。ロックした会話は「Projects > Locked chats」から探し、4桁のアカウントPINを入力して開く。対応するモバイル端末では、顔認証など端末の認証も使える。

例えば、打ち合わせでChatGPTの画面を見せる前に、採用面談の準備メモを含む会話を一覧から隠しておく。別の会話を開いたときに、うっかりタイトルが見える場面を減らせる。目的は「のぞき見を避ける」ことで、情報の保存条件を変えることではない。

機能は段階的に提供される。Free、Go、Plus、Proなどに対応するが、同じプランでも、まだメニューに「Lock chat」が現れないことがある。WindowsとmacOSの新しいChatGPTデスクトップアプリ、Web、iOS、Androidが案内されている。画面や名称は提供状況で変わり得るため、表示を確かめながら進めたい。

まずは「見せたくない理由」で分ける

会話をロックすべきか迷ったら、内容の重要度だけで決めず、どの場面で困るかを考える。画面共有、家族との端末共用、移動中に隣から画面が見えることが心配なら、ロックは役立つ。一方、会社の規定で外部AIへの入力自体が禁じられている情報には使えない。ロックしても、その入力が許可されたことにはならないからだ。

例として、次の3段階に整理できる。①公開してもよい調べ物は通常のチャット。②自分だけで後から見返したい相談はロックを検討。③パスワード、顧客の個人情報、社外秘の原本など、入力してはいけないものは最初から入れない。ロックは③を②に変える魔法ではない。

ロックする前の3分チェック

OpenAIの使い方の説明をもとに、既存の会話をロックする前に次を確認したい。ここでは機能の公開情報から手順を整理しており、すべての端末で実際に画面操作を検証した結果ではない。

  1. 対象の会話を特定する。似たタイトルの別会話を隠さないよう、開いて中身を確かめる。必要な共有リンクがある場合は、そのURLの扱いも確認する。
  2. 会話の「…」メニューから「Lock chat」を選ぶ。初回は4桁のPINを設定する。推測されやすい数字を避け、忘れない方法を用意する。
  3. 通常一覧から消えたか、ロック領域から開けるかを確認する。「Projects > Locked chats」でPIN入力後に対象を探す。共有画面に出す前には、ほかのタブや端末で古い一覧が残っていないかも見る。

PINを設定したら、作業の終わりに「Lock now」で閲覧状態を閉じられる。Webではページ更新やタブを閉じたときにもアクセスが終わる。端末ごとの動きは異なるため、共有前に自分の画面で確かめるのが確実だ。

「隠れた」と「消えた」は別

ここが最も大切だ。OpenAIは、ロックしても保存期間、モデル改善に使う設定、組織の管理ルールは変わらず、別の暗号化保管庫ができるわけでもないと説明している。すでに記憶された情報も、ロックだけでは消えない。つまり通常の一覧から見えないことと、データが削除されたことは別だ。

以前に会話の共有リンクを作っていた場合も注意したい。会話をロックしても、既存リンクは自動で消えない。公開済みの内容へのアクセスを止めたいなら、共有リンクを別途削除する必要がある。ロック後の新しいメッセージはその既存リンクへ追加されないが、過去に共有した部分が残ることを忘れない。

会社のアカウントでは、管理者が利用できる記録やポリシーも優先される。個人でのぞき見対策をしたい場合と、企業の情報管理を満たしたい場合では、確認すべき相手が違う。後者は社内ルールの確認が先だ。

大切な会話ほど、PINの扱いに注意

PINを忘れた場合は、思い当たる番号を何度も試す前に立ち止まりたい。OpenAIの説明では、PINの変更には現在のPINが必要で、変更してもロックした会話は消えない。一方、忘れたPINのリセットはロックした会話や、そのPINで守られたファイルなどの永久削除を伴う。復元できないと明記されている。

保存したい内容があるなら、ロックする前に「この会話を後でどう使うか」を考えよう。例えば旅行の計画なら、確定した日程だけを別のメモに移す。仕事の下書きなら、承認済みの文書は決められた保管場所へ置く。チャットだけを唯一の原本にしないと、PIN紛失時の困りごとを減らせる。

ロックに向かない会話もある

すべての会話でメニューが出るわけではない。一時チャット、アーカイブ済み、グループ、共有リンクから作られた会話、スケジュールタスクやバックグラウンド作業に関わる会話などは対象外と案内されている。Codexの会話や一部のWorkの会話もロックできない。メニューがない場合、プランだけでなく会話の種類も確認したい。

また、ロックした会話は通常のプロジェクトから移動し、元のプロジェクトの指示やファイルを使わなくなる場合がある。プロジェクト内で続けている共同作業の会話を隠すと、前と同じ条件で回答されるとは限らない。作業の継続に必要な設定があるなら、ロック前に確認する。

「履歴に残したくない」という目的なら、一時チャットも候補だ。一時チャットは通常の履歴に保存しない使い方で、ロック付きチャットは保存した会話へのアクセスをPINで分ける使い方。後から読み返す必要があるかが、選ぶときの分かれ目になる。

画面共有前に使うなら

例えば個人の転職相談をロックし、公開情報の調査メモは通常の一覧に残すと、必要な会話を探しやすい。毎回「秘密かどうか」だけで判断するより、見せる場面でタイトルや内容が映って困るかを基準にした方が迷いにくい。ただし相談に含まれる実名や連絡先などは、ロックの有無にかかわらず入力前に伏せておこう。

会議の5分前に慌てて全部をロックするより、前日に見られたくない会話だけを選ぶ方がよい。手順は、対象の会話を確認し、ロックし、通常一覧から消えたかを確認し、共有リンクや別タブも確認する、という順番だ。画面共有中は新しい会話のタイトルが自動で見えることもあるため、ChatGPTの画面全体ではなく必要なウィンドウだけを共有することも考えたい。

判断を一文にすると、「保存して見返したいが、普段の一覧には出したくない会話」に使う。削除、組織の権限管理、入力禁止情報への対策までを一つのロック機能に任せない。便利な鍵だが、家全体の防犯を鍵穴一つで済ませるわけにはいかない。

参考情報(主要ソース)